冬休みに入ってから「Go」(行定勲、2001)という映画を借りてきて観た。この映画が撮られた15年前と現在との、地続きではあるが大きな落差を感じさせてくれるものだった。この映画の主人公を演じた俳優の窪塚洋介については、すでに多くの論者が様々に論じている。映画以上にこの俳優の転変のほうが映画的だったかもしれない。「現代日本の若者の保守化?」と題された大澤真幸の論文は、この俳優の劇的な転換の意味の解読を通じて、若者の保守化とナショナリズムが秘めている「謎」に迫ろうとしている。2007年に学会で報告され、2011年に出版されたこのこの論文は、まさに現在の政権が、途方もないことをしながらも、なぜ支持率が下がらないのか、という「謎」の解明の補助線として、依然として有効であることを示している。


大澤真幸 近代日本のナショナリズム2

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