パリ大学ナンテール校を訪問しました。ナンテールはパリ大学の社会学部があるところですね。1968年の「パリ五月革命」の時には、パリ大学の中でも社会学部はそのひとつの拠点となったところです。ダニエル・コーン・バンディという学生がリーダーになっていました。パリ市内ではなく郊外の大学都市なので、なかなか訪問する機会がなかったのですが、ぜひ一度は訪ねてみたかったところでした。
「パリ五月革命」というのは、いったい、何だったのだろう。ナンテール校にそんな歴史があることを知る学生は、どのくらいいるのでしょう。当時、アメリカではベトナム反戦、シビル・ライツ・ムーブメント、チェコでは「プラハの春」、日本では全共闘、中国では文化大革命、など、世界同時的に、学生の反乱というものが沸き立っていたのです。中でもパリの五月革命は、反ドゴールの全国ストライキなどが起こって大きな社会動乱となりました。サルトルらが学生支持して「パリ・コミューン以来の革命の可能性もあった」などというほど騒然としたものだったのです。
さて、ナンテールには、1968年の雰囲気はすでにどこにもありません。都心のパリ大学とは全然ちがって建物自体がどこか機能主義風の近代的な建物。院生に聞くと「パリの中でいちばんアメリカ風」なのだそうです。社会学の建物だけでなく、「マックス・ヴェーバー館」なんていうのもあって、D.H.ロレンス学会などをやっていました。でも、学内のポスターや張り紙は、ばりばりの「サヨク」風。マルクスの絵もいたるところにあって、このグローバル資本主義の時代とは、明らかに違う空気もあります。さすがフランス。でも近づいている大統領選は、いったいどうなるんだろう。トランプ現象と同じことが起こってしまうのではないかと、みんな心配顔。
ナンテール周辺は、ちょっと治安も良くないとききました。テロのあったサン・ドニといい、パリ郊外は、いろいろと問題含みですね。


パリ大学・ナンテール校、総合的な学部構成だとききました。この広いキャンパスに、日本人留学生はなんと5人しかいないとか・・・

社会学部の教室などをのぞきました。「社会学」らしいポスターやコロック、落書きなどが

ナンテールはぽかぽかした春爛漫の陽気で、学生たちが芝生でなごんでいました。日本の新歓みたいな雰囲気ですね。

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