パリというと豪華絢爛なフランス料理のイメージではないでしょうか。最近だと懐石料理のようなヌーヴェル・キュイジーヌのイメージもあるかもしれません。たしかにパリ中心部の観光地はそうかれしれないです。また短期の旅行客にとっては豪華なレストランに行くのかもしれませんが、一歩、郊外にでたり、国際大学都市の近くを歩くと、オシャレなフランス料理店など、まず見当たらない。そもそもレストランなるものは高級すぎて学生がいくところではない(私も)。住宅地には(というかフランスには)コンビニもない。スーパーはあるが日曜は完全に休み。朝は遅く夜も早じまい。おまけに手軽な軽食やテイクアウトもほとんどないのだ(パリ国際大学都市周辺にはケバブ店くらい)。この国際大学都市は世界からの留学生や研究者がたくさん集まって生活しているわけだから、相当なマーケットがあるはずなのに、そうはならない。これはじつに不思議なことだ。「美食の都」のはずなのだが、実際に暮らしてみるとそうではない。ミシュランに代表されるように、最高峰は、たしかに世界の最高峰かもしれない。しかし、最高級の食と、普段の食との落差が、けたはずれに大きいのだ。日本人からみると「普通」の食事のレベルは、じつは日本にはるかに及ばないのではないか。これまた、不思議な大きな謎である。だから、普通やそれより下の食事のレベルこそが問題な私のような人間にとっては、ここは、なんだかひどい砂漠のようにも感じられる。


サンミッシェルにてクスクス料理を食す

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