6月のシネラは近年話題となったアジア映画特集です。今日は「ラサへの歩き方 祈りの2400km」という映画をみました。ほとんど事前知識ゼロで観ましたが、これは凄い。これは、映画として傑作だ。
セミ・ドキュメンタリー的に作られた映画のようですが、チベットの端の小さな村から、村民11名が「五体投地」しながら1200キロはなれたラサへ巡礼にでるというのです。その後、さらに冬の高山カイラス山へこれまた五体投地しながら巡礼するという途方もないストーリーなのです。途中で、陣痛が始まって赤ちゃんが生まれたり、自動車事故にあったり、トラクターを人力で押して峠を超えたり、さらには長老がカイラス山ふもとで亡くなったり。この波瀾万丈の物語が、全然ドラマチックにではなく、じつに淡々と、じつに平穏に、じつに静かに平和に描かれている。女性たちが5人も巡礼に参加していて、最年少の女の子は小学生だ。この子が、じつにステキですね。ふつうは「千と千尋」のごとく、この年齢の女の子はこのセカイへの不平・不満でいっぱいで、本格的な反抗期ではないのですが、ぶうたれているのが普通なのに。この子は、その対極です。じつに素直、じつに平和、じつに楽しそうにのびのびと五体投地している。おそらく映画的なフィクションなんでしょうが、この子が登場したことが、この映画の成功の半ば以上をにぎっていると言って過言ではありますまい。この子には、魅了されてしまいますね。
あとで調べたら、全世界的にヒットした映画のようですが、これは素直にすごい。「ロード・ムービーの傑作」だそうです。言われてみれば、これこそ「ロード・ムービー」ですね。

*この映画のホームページはこちらhttp://www.moviola.jp/lhasa/


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