今月は「シネラ」で「近年話題となった注目のアジア映画の特集」をやっていたので「バーフバリ 伝説誕生」と「バーフバリ 王の凱旋」(ともに完全版)を2週にわけて観てしまいました。それぞれ3時間近くの「大作」です。世界的に大ヒットしたらしいです。でも、この見おわったあとの虚脱感というか虚無感は何でしょう。こんな映画を見ていていいのだろうかとか、お気楽・脳天気な世界観だなぁとか、まるでプロレスを映画にしたような、いやプロレスラーによるプロレス映画なんだな等々。見始めて1時間を超えるころから、退屈して頭をよぎりはじめるネガティヴなコトバたち。「何度観ても面白いね」という声も聞こえましたが、ほんとですか? 私はもう二度と見ないと思うけど。
でも、後半には「国母」なる人物がちょっとシェイクスピアの「マクベス夫人」を思わせる狂乱の様相になったり、主人公がリア王的になってきたり、面白いといえば面白いとも言える。
最後の最後に主人公が敵を討ったあと国王となって鎮座するシーンなどは「ああ、これこそ、宮崎駿監督が、ぜったいにこういう終わり方にしたくないと、「千と千尋の神隠し」で苦労に苦労を重ねた、もっとも避けたかった最悪の典型パターンだ」と痛感させられたり、けっこう見所はあったというべきかもしれません。
でも、この贅をこらした、おカネをかけた、こってりした映像美。単純明快すぎて「ストーリーなんかいらないじゃん」と言うほどのストーリー。これがインド映画なんでしょうか。いや、世界中の映画がこうなってきているのでしょうか。

(今月みたアジア映画の中では「ラサへの歩き方─祈りの2400キロ」のほうが比較を絶して優れた映画だと思いましたけれど……)


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