『今こそお寺に言いたいこと』という本が出版されました──これは題名に惹かれてさっそく購入して読んでみました。コロナ禍で未曾有の危機、それより前から「地方消滅」──このままでは「地方」でけでなく、お寺さんもろとも消滅は不可避です。だからこそ「今こそ、お寺さんに期待したい」そう思う人は少なくないはず。お寺さんへの直言、そしてお寺さんからの真摯で斬新な提案を期待して……読んでみると──あれれ、これは肩すかしですね。「今さらお寺さんに言っても仕方がない」と思うのか、どの発言も、なんだこれは。わざわざ本にするほどのものか。はっきりいって怒りを感じてしまいました。じつに残念です。そもそも「各界第一人者による」というコンセプトが良くないのかもしれません。誰一人、本当は、お寺さんに何も期待していない、と言うことが読むと明らかだからです。ただ懐かしい風景を守ってほしい、という、無責任でなおざりな感想に尽きています。こんなものでは羊頭狗肉。わざわざ本にして売るほどのものか、中身を全取っ替えして、もういちど作り直してほしいと真剣に思います。私は個人的に、熊本地震の時に他の県からやってきて、自分のお寺を留守にしてまで、奮闘努力・大活躍したご住職も知っています。そういう本当の宗教家のご住職の心にも届くような内容を期待したいですね。


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