これは2005年初夏のある晩のブルックライン公共図書館です。



ブルックラインは、ボストンに隣接する小さな「市」です。 ボストン在住の日本人の多くがここに住んでいることでも知られていますが、ほかにユダヤ系やロシア系の人たちが多いことでも有名です。ブルックラインの歴 史をみると、ボストンからいかに「独立」を守ってきたか、と誇らしげに書かれています。ここもまた300年の歴史を誇っています。ここにも公共図書館があ り、この図書館も「パブリック・ライブラリ」です。 ここが特別すぐれている、というわけではないかもしれませんが、日本の「市立図書館」とは、まったく異なったものだと言えるでしょう。日本は世界に冠たる 「公共事業」国家だそうです。図書館こそ、まさに「公共事業」でしか出来ないものなのですが、日本には、はたしてこのような公共事業らしい公共事業が、ど れほどあるでしょうか。


ある初夏のブルックライン公共図書館


小さいがこれぞ図書館という風情がある。


こんな小さな図書館も夜9時まで開館しているのだ。


天井が高いことが、やはり独特の空間を生み出している。



豪華ではないが華がある。華美ではないが重厚さがある。こうした空間を持つことのできる人たちの誇りが感じられる。


ブルックライン出身の作家たちの蔵書があるブルックライン・ルーム。


私のお気に入りは、この机でした。


歴史と風格。そして誇りとアイデンティティ。


懐かしい情景。ところで、図書館こそ「公共事業」です。個人にも、市場にも作れないものです。日本の「公共事業」は、どうしてこうしたものを作れないのでしょうか。

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