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岩波の『図書』最新号にソーニャ・カトーの文章が掲載されていて驚いた。加藤周一の養女となった人だ。養父の思い出を描いた短いエッセイだが、初めて知るようなエピソードが多かった。加藤周一も没後10年、来年2019年で生誕百年となる。高校時代から読んでいたが、いつのまにか、どれを読んでも、同じ論旨のような既視感を覚えるようになって、遠ざかっていた。ソーニャ・カトーを読んだので、久しぶりに思い立って『加藤周一最終講義』も読んでみた。いくつかの新しい発見があった。論旨は昔から変わらず一貫している。それが読者には魅力的に映ったり、限界効用を感じさせたりする。しかし本人は、その筋に何かひとつでも新しく加えたいと最晩年まで苦心していたのだ。収められたいくつかの最終講義は2000年から2006年くらいまで。80歳を超えた「最終講義」だ。その時点でまださらに何か付け加えようと努力して講義している。これはすごいことだ。またそういう努力と熱意が衰えなかったということが、またすごい。