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東京に出かけたおりに上野の都美術館の「没後50年 藤田嗣治展」に行ってみました。フジタといえば昨年滞在したパリ国際大学都市の日本館にはフジタの大作がふたつありました。バロン薩摩治郎八が依頼したものだと思います。藤田嗣治展はNHKの「日曜美術館」でも紹介されていたので知りました。TVでは戦争画に協力したとされるフジタのなかなかに複雑な内面も紹介されていました。軍医の子として生まれ、パリで初めて認められた日本人画家として、狂乱の時代を過ごし、戦争に翻弄されながらも思いっきり転変していったフジタは興味深い人物だったと思います。精神的には不安定な人だったかもしれません。展覧会を見ると、初期からかなりの達筆だったことが分かります。それよりも展覧会を実際に見ていくとTVやWebで紹介されていた作品よりも他に、はるかに引き込まれる作品が多くあることが印象的でした。TVなどでは感じなかったことですが、輪郭線を墨でほそく描く技法は、じつはマンガの先駆者のようにも思われました。じつにポップです。裸婦が必ず傍らに猫をはべらせる構図も、何というか、俗っぽくて分かりやすい。下地に工夫をこらした乳白色も、あえて不思議に調和をゆがめた構図を浮かび上がらせています。裸婦で評判をとったあと世界放浪、戦争画のあとは日本と決別してフランスで宗教画を制作して死ぬという人生も、映画的ですね。フジタにはこのようなポップな特徴があったので人気を博し時代の寵児になったのでしょうか。TVやWebで紹介されていたのとは違う印象をうることのできた展覧会でした。会場は満員の混雑でしたね。http://foujita2018.jp/
(写真は数年前、パリ国際大学都市・日本館に滞在していた時に撮影したフジタ)


パリ国際大学都市・日本館がほこるフジタ

日本館の入り口にあるフジタ。名だたる仏文学者たちの多くがここで留学生活を送った。