多くの人の実感だろうが、オンライン授業のほうが、通常の対面授業にくらべて格段に疲労度が高い。どうしてなのだろう。すこし考えてみた。第1に、オンライン授業だと多くの見知らぬ人たちが、私をじっと見つめている、という感覚になる。一挙一動を真剣に見つめられていたら、ミスできないし、コトバに詰まることもできない、これは疲れる。事前の準備も、対面授業より綿密におこなわなければならない。これまでも画面にスライドが映らなかったり、古いスライドがでたり、フリーズしてしまうこともあった。冷や汗がでる。オンライン授業は手抜きできないのだ。第2に、呼吸や息継ぎが難しい。対面授業だと、教室のひとりひとりを見渡して、アイコンタクトしたり、ふっと息ぬきをしたり(学生も息をつめていることが多いので)、テンションとリダクション、緊張と脱力とを、リズミカルに交代しながらおこなうのだが、そのテンポがオンラインではつかみ難い。下手なスイマーは、全身ばたばたさせて全力で力任せに泳ごうとする──というよりは半分、溺れているのだ。同じように全力疾走してしまうと、あっというまにエネルギーが枯渇する。これも、疲れる二つめの原因だろうか。そこでペース変更のきっかけとして映画や小説やサブカルチャーの話題を挟むのだが、これまたそれを見ていない人にはちんぷんかんぷんになるので、使い方が難しい。映画「シン・ゴジラ」もいつ使おうか。


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