吉田秀和「名曲のたのしみ」最終回スペシャル
「吉田秀和、名曲のたのしみ、最終回スペシャル」。番組の冒頭、いきなり、おどろくべきことが語られていた。この番組の放送テープ、NHKにはなんと三分の一しか残っていないのだそうだ! こういうところ、日本なんだなぁ。記録とか残すとかに関心を持たないのだ。ただ今だけの現在至上主義、というやつだろうか。過去も未来もなく、ただ現在だけがある。われわれは、而今、ただ今だけを生きているのか。私たち日本人は刹那主義なのかなぁ。
そういえば今年、陸前高田あたりをめぐった時に、井上ひさしの出身地、吉里吉里の手前の大船渡あたりをめぐった。この周辺は、ツナミで大災害を受けたのだ。その中に「ひっこりひょうたん島」のモデルになった島があった。この日本TV史に名を残す番組も、今やほとんど何も映像が残ってないという。でも吉田秀和さんのは、映像じゃなくて音声録音なんだぞ。録音テープくらい、残せただろうに。なんということだ。NHKが全国のファンに呼びかけたところ、やっぱり録音している人がいて、集まってきたのだが、それでも全体の82%しか再現できないのだそうだ。残念な話だ。


吉田秀和

大晦日、いろいろ片付けながら、今年を振り返りながら、吉田秀和「名曲のたのしみ」最終回スペシャルを聴きおえた。良かった。過去30年間の吉田秀和の音声がもたらしてくれる豊かな世界があった。声は、年齢によって、ずいぶん変わるものなのだ。晩年の声のイメージが強かったが、60代の吉田秀和さんの声も、なにか、こう、覇気があって、よかったなぁ。

Share →