カフカ巡り2 映画館ルツェルナ
カフカの伝記を読むと、カフカは初期の映画を見ることが好きで「キノ・ルツェルナ」に通ったという。池内紀の『カフカの生涯』(白水社)によれば変身や審判などの作品は「初期キネマトグラフの作品と奇妙に似ている」。池内紀によれば「映画館ルツェルナはプラハに現存している。美しい外観をもち、なかなか優雅なつくりである。かつてそこには、痩せてヒョロリと背の高い小官吏が、客席にすわり、じっとスクリーンをみつめていた」とある。さっそくさがしました。このルツェルナ館、プラハの中心部にあって、ほんとうに優雅な店の並ぶ、いわゆるアール・ヌーボー様式のパッサージュを形成しています。

調べてみると「Lucernaとはランタンの意味である。これを設計したバーツラフ・バベル(同名の元大統領の祖父の建築家)が1909年にこの総合アートセンターを落成させた時には一大センセーションが起こったそうだ。映画館、ギャラリー、事務所、店舗の複合コンプレックスの走りである。建物はアールヌーボー様式の現代ではちょっと見られないインテリアである。全館が当時の最新デザインであるのは、20世紀初頭というのはチエコは欧州の列強の中で経済的にも文化的にもその繁栄を謳歌していたからだ」とある(チョートクカメラ日記)。


 

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