岡倉天心 茶の本 THE BOOK OF TEA
大学&大学院時代・社会学科の同級生、田中秀隆くんが、『現代語でさらりと読む茶の古典 岡倉天心 茶の本 THE BOOK OF TEA』を出版されました。
友人の田中秀隆くんは、何をかくそう、いまや、田中仙堂を襲名して大日本茶道学会・副会長なんですが、ここでは仙堂ではなく、研究者として秀隆の名前で出ているようですね。福岡にも時々、お茶の指導に来ているそうです。
【注】
出版社のサイトには「近代の名著として名高い『茶の本』は、明治39年(1906)に岡倉天心(1863 〜1913)が英語で書きアメリカで出版した書物です。そのタイトルや、再編集された利休の逸話・切腹話が多いことから、「茶道」について説きおこした本とも思われがちですが、実は、ハラキリで欧米に認知されていた当時の日本人を、日本の文化を擁護するために、欧米でも飲まれている「茶(紅茶)」を引き合いに出し、理解を求める意向で執筆されたものでした。七章からなる本文は短いものですが、どう解釈するかは訳者に負うところが大きい書でもあります。今回は、茶の道学実を兼ね備えた筆者が原文に挑んだ、茶の湯関係者待望の一冊です」・・・とあります。
岡倉天心、ボストン美術館で活躍して、アメリカに日本文化を導入した先達ですからね。
http://www.tankosha.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=1576
九州大学でエズラ・ヴォーゲル先生の講演会がありました
九州大学でエズラ・ヴォーゲル先生の講演会がありました。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が出版されたのが1990年らしいので、学生・院生が生まれる前のことですね。いまや、だれひとり、日本がナンバーワンだなどと思わない時代になりました。私がたまたま滞在していたハーバード大学でヴォーゲル先生の退職記念講義に出席したのが2000年ですから、それももうだいぶ前のことになります。ハーバード大学には「定年」というきまりはありませんが、いちおうの目安としてあるのは70歳だそうです。ですから、現在、御年83歳くらいになるのかなぁ。今回は「鄧小平」についての大著について語られました。すごいですね。80歳をこえてかくしゃくとしていて、英語でなく流暢な日本語で講演されました。現在は、日本より中国研究のほうに力を入れておられるようですが、それはアメリカにたいする一種の責任感だとおっしゃっていましたね。
『介護系NPOの最前線』が出版されてから10年
NPO法人「たすけあい佐賀」のことは、2003年に出版した『介護系NPOの最前線―全国トップ16の実像』(ミネルヴァ書房)でも大きく取り上げています。あれから10年、着実に発展してきていますね。介護保険制度のほうは、紆余曲折、ダッチロールが多く、頻繁な制度改正もあって、福祉NPOにとっては必ずしも順調な道のりではなかったと思いますが、「たすけあい佐賀」のほうは、福祉NPOの中でももっともがんばっている団体のひとつではないでしょうか。
今回、事務局のお話しをうかがいながら、なるほど、これがその秘訣か、というようなところがいくつも発見できました。
『介護系NPOの最前線』が出版されてから10年、その後の展開をふまえてそろそろリライトしたいですね。
ニッポンがお亡くなりに・・・
ニッポンがお亡くなりに。
今回の利賀村の演劇のハイライトは8月31日夜に上演された「世界の果てからこんにちは」だったろう。
台風の影響で降りしきる雨の中を、野外劇場をびっしりと立錐の余地もなく埋め尽くした観客の中で「世界の果てからこんにちは」が上演された。
これは、鈴木忠志演劇のエッセンスがつまった花火ショーとも言うべきもののようで、舞台では演劇が、背後の池では花火が、さらにその背後の山はライトアップされて、一種、荘厳な雰囲気に包まれる。
多彩な花火が、空襲や爆撃や特攻隊の自爆のように使われる。そして背後に浮かび上がる日本の里山。
その中に「ニッポンがお亡くなりになりました」というメッセージが届けられる。
「世界の果てからこんにちは」が最初に上演された20年以上前には、バブルで失われた日本の古き良き面影のことがイメージされたのではないか。
ところが、いま、これをきくと、冗談ではなく、ほんとうに、日本全体が逝去していくかのようなリアリティがあるのだ。
降りしきる雨の中でずぶ濡れになりながら、心底、畏怖を感じさせる芝居だった。
共生社会学コースの大学院の夏季入試
昨日は私の所属する共生社会学コースの大学院の夏季入試でしたが、受験生はたった二人。そのうち、われわれの共生社会学を志望した唯一の学生は、欠席だった。大騒ぎして入試問題作ったのに、ちょっと虚しい。
私が学生の頃、大学院入試は、けっこう難関だった。真剣に受験勉強や語学の準備をして備えた(何しろ、英語だけでなくフランス語もあった)。
大学院に進学すると、何か、次の新たな世界が開けてくるように感じていた。
その後、大学院重点化などと、各地で大学院の規模も定員も拡大したが、今では志望者や受験生を確保するのがたいへんだ。かつての夢は剥落してしまったのだろうか。でもそれは大学院に限ったことでなく、日本全体から、夢や将来への期待が、しぼんでいるのを感じる。
夢や期待が持ちにくい時代。身近で安全なところで小満足していく傾向。縮みながら老いて衰退していくのが日本の未来なのかなぁ。
ハリアー反乱・危篤。クルマは人間の気持ちを推し量れるのか?
ハリアーさん危篤。出張から5日ぶりに戻ってきて朝クルマのエンジンキーを回す。エンジンはかかるがすぐにストールしてしまう。ちょっと前から前兆はあった。しかしこれまではストールしそうになったらすぐにアクセルをふかすと通常のアイドリングに戻っていたのだが、今朝はそうはいかない。いよいよ来たか。しばらく奮闘してからトヨタの修理工場に電話する。おりあしく休業日。JAFに連絡。修理はできない修理工場までレッカーするだけ、と言われる。しかたなくレッカー予約。翌朝レッカーしてもらう。診察結果は、エンジンフローめぐりの故障。部品交換ふたつで8万円近くかかるという。痛いなぁ。思えばこのハリアーもわが家にきて13年になる。中古を購入したのだから実年齢は15歳以上。とうに13万5千キロを超えて、いまどきのクルマにしたら長寿なのかな。人間だって高齢化してるし、ここまできたら、介護しながら、もうちょっとがんばろうか、と高額の修理を頼んだ。でも不思議なのは、そろそろ買い換え時かなぁ、などと家人と話したりしている気配を、こいつが敏感に察知して、へそをまげた気配が濃厚なこと。クルマにも気持ちがあるんだなぁ。「おれを見捨てるつもりなのか」と機嫌をそこねたのに違いない。人間と同じですね。気持ちが大切。すまんすまん。
インフォメーション
安立清史(「超高齢社会研究所」代表、九州大学名誉教授)のホームページとブログです──新著『福祉の起原』(弦書房)が出版されました。これまで『超高齢社会の乗り越え方』、『21世紀の《想像の共同体》─ボランティアの原理 非営利の可能性』、『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房)、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会)などの著書があります。「超高齢社会研究所」代表をつとめています。https://aging-society.jp/ 参照
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