福岡市図書館シネラで元RKBのディレクター木村栄文のドキュメンタリー番組「むかし男ありけり(1984)」を見た。
檀一雄が晩年をすごしたポルトガル・サンタクルスと福岡の能古島での足どりを俳優・高倉健が追ったドキュメンタリーとある。深作欣二監督の映画「火宅の人」が檀一雄と不倫相手との凄絶な道行きを描いていたのにたいして、こちらはうってかわって、檀一雄が異国のサンタクルスで街の人たちに好意的に受け入れられ、幸せな晩年を過ごしました、というまったく別の姿が描かれる(居酒屋の人々や、貸別荘の管理人おばちゃんオデッセとの交流(買い物にでかけて、オデテかえらず、犬かえる)。病をえてかえってきた博多や能古島で、やはり人びとから慕われていた檀一雄を、肯定的すぎるほど肯定的な姿に描いていて、これは「火宅の人」への反歌のようにして作られたドキュメンタリー・ドラマだったのだ。これは、檀一雄に共感をおぼえつつ、まったく逆のタイプの人だった高倉健がリポーターや朗読者として登場したことも大きかったろう。
しかし、さすがに木村栄文だ。90歳で存命だった檀一雄の実母を登場させたり、壇ふみやヨソ子(沢木孝太郎の『檀』の主人公)らが、そろって檀を肯定的に語るのは、驚きであり、なるほどみんなが見たいものを見せ、みんながそう考えたい檀一雄像をみごとに描きだしたのはすごい手腕だ。






















