From the monthly archives: "10月 2012"

九州大学図書館からの依頼で、社会学学生への推薦図書を選定しました。

図書館からの依頼で、社会学の推薦図書を選定しました。いずれ図書館に配架されると思います。

 

 書 名 ・ 叢 書 名 等 著 編 者 名 出 版 社 出版年
ケアの社会学 上野千鶴子 太田出版 2011
ボランティアの誕生と終焉 仁平 典宏 名古屋大学出版会 2011
ナショナリズムの由来 大澤 真幸 講談社 2007
<自由>の条件 大澤 真幸 講談社 2008
現代宗教意識論 大澤 真幸 弘文社 2010
福祉NPOの社会学 安立 清史 東京大学出版会 2008
福祉社会学宣言 副田 義也 岩波書店 2008
社会調査史のリテラシー 佐藤健二 新曜社 2011

 

クリュイタンス(指揮者)とバンホーテン(ココア)
私にとって小学生の頃から親しんだクラシックの指揮者の名前に「アンドレ・クリュイタンス」がある。ビゼーのカルメンとかアルルの女とかのCDは、いまでも入手可能なはずの名演だ。彼はベルギー人だったようだ。一昨年、ベルギーからの短期留学生ピーター・クリュイタンスくんの指導を引き受けた時にまっさきに出てきたのが「アンドレ・クリュイタンスを知っているか」だった。国民的大指揮者としてベルギー人だったら誰でも知っているのかと思ったら、そんなことはまったくなくて、日本でのほうが知名度は高いのかもしれない。そのクリュイタンスくん、日本および福岡が大いに気に入って大学を卒業してすぐに福岡に舞い戻ってきた。こんどは大学院生として博多山笠を研究したいという。おまけに指導教員は、これまたベルギー人初(?)の九州大学教員ヴァン・フーテム先生だ。このヴァン・フーテム先生、どこかで聞いた懐かしい響きがあるぞ、と思っていたら思い出した。昔のココアに「バンホーテン」というのがあったではないか。あの「バンホーテン」はもしかしたら日本読みで、ほんとうは「ヴァン・フーテム」だったのではないか、先生のご親族かもしれないな、というのが私の仮説なのだが、まだヴァン・フーテム先生には確かめていない。いつかおりをみて、聞いてみよう。でも、あれ、ココアだったかな、コーヒーだったかな・・・。
◆追伸、学生の鶴井愛子さんが調べてくれたところによるとココアの「バンホーテン」はオランダの会社だそうです。ふうーん。ベルギーとオランダ。近いからなぁ。ベルギーも南はフランス語圏、北はドイツ語とかオランダ語になるのかぁ。ちなみにヴァン・フーテム先生は、北のほうのゲント出身だそうです。

 


バンホーテンはココアの歴史、だそうです。

プラハにおけるカフカ
現在のプラハにおけるカフカとは、どんなものなんだろうか。じっさいにプラハを歩いてみると、どこか微妙なものがあるように感じられた。こういうことだ。カフカは、チェコ人ではない。ドイツ人でもない。カフカじしん、はじめはユダヤ人であることもあまり意識していなかった。こういう微妙な存在として、プラハでひっそりと生きたカフカが、チェコやプラハを代表する人物であるかのように国外で喧伝されることにたいするプラハの人たち、およびチェコの人たちの無意識が反映されているのだろうか・・・。たった5日間しか滞在しなかった旅人には、そこまで深いものは分からないのだが。でも、なんとなく、カフカ博物館などは、どこかカフカを突き放したような、そんな雰囲気が感じられる。スメタナやドヴォルザークなどは、手放しでチェコの偉人として称揚しまっくっているのにたいし、カフカにはそのような賛美が感じられない。(蛇足ながら、本場、プラハでスメタナのモルダウ、ドヴォルザークの新世界など聴くと、ううーむ、ちょっと、どうも、こんなものかな、と思ってしまう。率直に言って、小中学生が感動するような、国民歌なんですね)。


カフカ博物館 収容所の建物をイメージしているのだろうなぁ

 シナゴーグとなりにあるカフカの像

カフカ巡り3 カフェ・アルコ

カフカの行きつけのカフェが「アルコ」だった。池内紀によれば「カフェ・アルコは日常に欠かせない店になった。友人ブロートと会う。新聞や新刊書を読む。手紙を書く。その辺りは多少ともいかがわしい地区であって、ひそかな愉悦にも利用できる」とある。たしかに、地方から多くの人びとが到着する駅の近くにあって、いまやアラブの人たちの蝟集する、ちょっと危ない雰囲気のある地区となっている。そして「アルコ」じたい、残っているが、もはやかつての輝きはいようだ。


チェコが社会主義国であったことを感じさせる駅舎。地方からの労働者が到着するようだ。

日本の駅よりすばらしい

カフカ巡り2 映画館ルツェルナ
カフカの伝記を読むと、カフカは初期の映画を見ることが好きで「キノ・ルツェルナ」に通ったという。池内紀の『カフカの生涯』(白水社)によれば変身や審判などの作品は「初期キネマトグラフの作品と奇妙に似ている」。池内紀によれば「映画館ルツェルナはプラハに現存している。美しい外観をもち、なかなか優雅なつくりである。かつてそこには、痩せてヒョロリと背の高い小官吏が、客席にすわり、じっとスクリーンをみつめていた」とある。さっそくさがしました。このルツェルナ館、プラハの中心部にあって、ほんとうに優雅な店の並ぶ、いわゆるアール・ヌーボー様式のパッサージュを形成しています。

調べてみると「Lucernaとはランタンの意味である。これを設計したバーツラフ・バベル(同名の元大統領の祖父の建築家)が1909年にこの総合アートセンターを落成させた時には一大センセーションが起こったそうだ。映画館、ギャラリー、事務所、店舗の複合コンプレックスの走りである。建物はアールヌーボー様式の現代ではちょっと見られないインテリアである。全館が当時の最新デザインであるのは、20世紀初頭というのはチエコは欧州の列強の中で経済的にも文化的にもその繁栄を謳歌していたからだ」とある(チョートクカメラ日記)。


 

カフカ巡り1 公務員カフカの職場
カフカの職場。カフカが一生を小官吏として過ごしたことは良く知られている。「労働者災害保険局」で熱心に勤めたらしい。さて、その勤務先はどんなものか。案外知られていないと思うが、プラハの中心部にある堂々たる建物だった。「公務員カフカ」はこんなところで働いていたのか。この建物、いまやけっこうな高級ホテルになっている。中に入ると、そこは「カフェ・フェリーツェ」なるものがあって、カフカの恋人フェリーツェ・バウアーをイメージしたカフェ・レストランになっている。


能古島
能古島は博多湾に浮かぶ小さな島ですが、井上陽水(能古島の片思い)や壇一雄(火宅の人)などに愛され、心に残る場所だと思います。先日のシンポジウムのあと、関係者で船にのって能古島に渡り、打ち上げをしました。都心の天神からわずか15分くらいの船旅で別世界に至ります。この時期、島の北側のアイランドパークは写真のようにコスモス畑の向こうに志賀島をのぞむ絶景(志賀島はごぞんじのとおり国宝金印が発掘されたところ)、春には菜の花畑になってこれも絶景です。打ち上げの帰りのフェリーは、福岡ドームやタワーを望みながら、彼岸から此岸へと戻ってくるような気分になりますね。まるで銀河鉄道の夜を、フェリーにのって渡っていくようです。


あはがり
奄美大島に行きたくなったのは、NHKの「新日本風土記」の、あの印象的なタイトルロールの音楽だ。朝崎郁恵という奄美大島(正確には加計呂麻島生まれ)出身の唄者の「あはがり」。これはすごい。それにくわえて、NHKの「新日本風土記」という番組も、現在放映されているテレビ番組の中では、突出したダントツの存在ではないだろうか。数年前、香港から九州大学に留学生としてきていたジョイス・ウォンさんが、日本と香港のTV番組の比較をしたいといいだして、当時、NHK福岡放送局でディレクターをしていたMさんにお昼の生放送番組を見せていただき、いろいろお話をうかがったことを思い出す。Mさんはその後、東京に戻られ、「新日本風土記」という番組制作にも参加されているはずである。いまでも時々、メールで、こんどこんな番組をつくりました、と連絡をいただく。
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以下、NHKのホームページより。

新日本風土記のテーマ曲「あはがり」。奄美島唄の唄者、朝崎郁恵さんが唄と詞を担当し、朝崎さんと親交のある吉俣良さんが編曲を手がけた、島唄をベースにしたオリジナル曲です。あはがり」とは奄美の島言葉で「すべてがあかるい」という意味です。奄美の島唄は、口伝で伝えられてきたもので、私たちが知っているような「歌」とか「曲」のような、定まった形とは違います。伝えられているのは、いくつもの歌詞のフレーズと、いくつものメロディのフレーズです。唄者は、祝いや弔いなど、そのとき歌う場にふさわしい歌詞を組み合わせ、それにふさわしいメロディを選び、その場で歌い分けています。今回の「あはがり」は、番組のイメージにあわせて、朝崎さんが伝えたいメッセージも交えて数ヶ月かけて詞を選び、作り、歌い、吉俣さんが、それにピアノをあてて編曲し、楽譜に起こしたものです。奄美の島唄の歌詞は、古い都の言葉が残っていると朝崎さんは言います。かつて渡ってきた人々が伝えた大昔の日本の言葉が、島唄の口伝の中で、そのままの形で保存されてきたと言うことで、つまり、奄美の島唄は、奄美のものばかりでなく、古い日本の姿そのものだと言う意味です。



奄美大島の島唄
「島唄、シマ唄(しまうた)は、奄美群島で歌われる民謡である。シマは自らの郷里を指し、シマ唄とは郷里の民謡を意味する。 出身集落以外の歌は「シマウタ」とは呼ばない。実際、集落ごとに異なった歌詞のバリエーションを持っている。現在も(専業でなく)兼業で島唄を生業とする者が多く、奄美民謡大賞などの賞も存在する。」ということです。先日の奄美大島行、名瀬の唄者、西和美さんの店で。

 


福岡の秋は盛りだくさん。
博多灯明ウォッチングは、18年目だと言います。もともと、町づくりボランティアによる手作りの催しだったと思います。やがて福岡市の観光事業の一環になって、「博多ライトアップウォーク」とも重なりながら、今は、時期が分かれてきました。昔は、灯明ウォッチングで博多の昔の寺町を歩いていると、いくつかのお寺さんが、この時期だけ特別にライトアップして、いつもは非公開のお庭を見せてくださる、というものでした。さて、今年の「博多ライトアップウォーク」は11月21日~25日。きっすいの博多っ子は、案外、能古島も、灯明ウォッチングも知らない。いまこそ、「博多ライトアップウォーク」へゴーですかね。


卒論における失敗のパターン
毎年思うのですが、成功する卒論にはパターンがありません。しかし、失敗するパターンは、どれも似通っています。
長年の経験で、こういうやり方をしてると失敗するな、こういうパターンにはまっていくとまずいな、というのが分かるのです。
さて、その恐怖の失敗パターンとは・・・

学習の tips 「ラジオ版学問ノススメ」(ポッドキャスト)
英語学習のための「ESLPOD.com」 のポッドキャストとともに、私が通勤のクルマの中で毎日聴く番組のひとつが「ラジオ版学問ノススメ」です。これは、聴いている人も少なくないと思うのですが、大学生では多くないのではないかな。でも、お薦めですね。話題の新刊書を出版した著者をまねいて、1時間くらい、本についてインタビューするラジオ番組のインターネット版なのですが、本は読んでなくても、こういう人が話題の本の著者なのか、ということが、1時間番組を聴くと、かなり詳しく分かってきて、とても興味深い。この番組を聴いたので読んだ本も少なくない。最近だと、福岡伸一とか松岡正剛とか柳田国男とか椎名誠とか内田樹とか鎌田實とか養老孟司とか・・・面白かったですね。ポッドキャストの良さは、さかのぼって古い番組でも捜してダウンロードして聴けること。内容レベルは、大学の教養課程レベルだと思う。これ、お薦めです。http://www.jfn.co.jp/susume/


 

卒業論文執筆に関する注意点


第一回中間報告(20 枚程度)締切:2011 年7 月末日

第二回中間報告(40 枚程度)締切:2011 年9 月末日(なお、分量は400 字詰め原稿用紙換算での枚数)

卒業論文題目検討会: 2011 年11 月中旬

卒業論文題目届提出締切:2011年11 月30 日

卒業論文提出締切: 2012 年1月10日 午後5時締め切り

→ できるだけ前日までに提出するように!


1. パソコンとワープロ・ソフトウエアを使用し、必ずUSB メモリー、CD-R 等にバックアップをとること。

2. 用紙はA4 を使用すること。1 ページあたりの字数は、1 行40 字で30 行、つまり1,200 字(400 字詰め原稿用紙で3 枚分)とすること。ただし、英数字はすべて半角文字で入力すること。全体(本文)の分量は、原稿用紙100 枚程度。

3. 表紙、要約、目次を本文の前につけること。要約は2,000 字程度とし、目次の項目には含めない。目次には、本文の各章、各節のページ番号を記入すること。表紙と目次には、ページ番号をふらないこと。

4. 図、および表にはそれぞれに通し番号と表題をつけること。なお、図の場合は図の下、表の場合は表の上に通し番号と表題をつけること。

5. 内容的に次の項目を網羅すること:社会学的な問題設定、先行研究のレビュー、分析の焦点、分析方法、分析結果、まとめと考察、参考文献

6. 文献の参照の仕方、および参考文献の記述の仕方は、『社会学評論スタイルガイド』に従うこと。但し、句読点については通常の和文用の句読点で良く、コンマやピリオドを使う必要はない。

7. 提出物は、すべて学生第一係(文学部担当)に提出すること。

8. 質問等がある場合には個別に担当教員に連絡すること。

9. 平成24年度前期は、火曜日 5 限の「社会学研究法演習I」を履修すること。

10.「社会学研究法演習I」の単位認定、成績判定は、上記2 回の中間報告に基づいて行う。


いよいよ10月、新学期です。4年生の皆さんには、残すところあと3ヶ月すこしです。卒論は順調に進んでいるでしょうか。卒論執筆は、これからが山場となります。さて、4月にも紹介したところですが、もういちど「成功する卒論、失敗する卒論」のスライドを紹介します。参考にして下さい。


成功する卒論、失敗する卒論 2012


 毎年、留学生をつれて博多の古い寺町界隈をめぐり歩きます。秋の「博多・灯明ウォッチング」。今年も20日の土曜日にあるようです。これはお薦めですよ。でも残念なことに、この日は、私は仕事で京都があるのです。学生といっしょに出かけるのは、その次の博多ライトアップウォーク(11月21日~25日)にしよう。


何カ国からの留学生になっただろう。ざっと10ヶ国以上だと思う。

 

ついでながら補足的にアドバイスすると、「ESLPOD.com」は毎日のように更新されているのだが、私のさらなにオススメは、この中から「English Cafe」というカテゴリーの番組を聴くことだ。ほかの番組(Esl Podcast #番号)は、やや、易しすぎて、知的な関心を持ち続けることが難しい。でも「English Cafe」は別格だ。これは、アメリカについての社会学、として聴けるくらい、アメリカの社会についての高水準の英語情報が得られると思う。つまり、英語を「勉強」だと思って聴くのでなく、英語を通じてアメリカ社会の情報を得る、「英語をつかってアメリカを理解する」という、英の本来の使い方ができるのだ。こうした知的関心や好奇心を持続させないかぎり、英語をものにすることは出来ないのだから、社会学の学生には、ぜひとも、この英語を通じたアメリカ社会の理解という方法をお薦めしたい。http://www.eslpod.com/website/index_new.html


今年は大型の台風が多い。先々週も、今週も、襲来した。東京で学会関係の会議があったので、昨日は、台風17号の合間をぬって、東京に日帰りしてきた。朝、空港のカウンターで、帰りの便を変更したのが良かった。羽田発18時25分の便を、1時間はやめて17時30分にしたのだが、結果的に、18時以降の羽田発のフライトは、すべて欠航になった。あやうくセーフだった。朝、予定を変更していなかったら、今朝からの新学期の授業に間に合わないところだった・・・